タイムスリップして真夏のよみうりランドへ。
何気なく、それでも随分ドキドキしながら握ったあの娘の、
多分優しかったろう手が、
今はもうどこにもありません。
今日は朝から土砂降りの雨で。
この雨が上がったら、きっとまた秋が深まっていることでしょう。
秋になれば、
世界がたそがれの季節に移り変われば
そうしたら僕は石神井川の辺で、あたりが金色に染まる時間を待ちます。
薄紅の夕日が、
風に舞う銀杏の葉を鮮やかに染めて、
夏の海のようにキラキラ輝いたら、
その密やかな波間にはもしかしたら、
人魚のようにはにかんだ
あの娘の笑顔が隠されているかも知れません。